哀愁の大阪旅行

浜松市北区細江町気賀の大村屋酒店です

2008年01月14日 08:15

「こんにちは」

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「久米くんやろ??」

最初の挨拶から・・・

20秒ほど経ち・・・

そしてようやく名前を呼んでくれた。

オレも・・・奥様も涙目になった。

今回の大阪旅行・・・・

家族全員で・・・

大阪の修業先を訪れようと計画していた。

毎年

盆暮れの義理と年賀状ではご挨拶をしているが・・・

18歳から20歳まで住み込みでいろいろと教えてもらった修業先・・

これまで一度も修業先を訪れたことは・・・なかった。

いや・・結婚が決まった年に一度だけ・・妻と訪問はしているが・・

それも12年も前の話である。

そのときは・・奥様はたまたまお留守だったのでお会いしてはいない。

奥様とは・・20年ぶりの再会だ。

「久米くん・・・よう肥えて・・・」

20年ぶりの再会なのに・・感動の言葉がこれであった・・

アポなし・・突然の訪問・・・

奥様は「よう来たなぁ・・よう来たなぁ・・」目を真っ赤にして・・向かえてくれた。

「にいちゃ」と呼んでいた・・社長も二階の事務室から降りてきた。

おいらの結婚式で来賓として祝辞を述べてくれた社長・・・

「久米くん、えらい久しぶりやなあ・・よう肥えたなぁ・・」

なんなんだ・・・この夫婦は・・・

どっちも第一声が・・「よう肥えたなぁ」ではナイか・・・

でも・・・奥様との20年ぶりの再会は本当に懐かしかった・・

「奥様・・いくつになったの??」

「あたし??・・あたし・・今62・・」

ということは・・ちょうどいまの俺たちくらいの年に・・18歳くらいの研修生を6人も預かり・・・そして晩ご飯のお世話までしていてくれたのだ。

改めてアタマが下がる・・・

妻と子供達は2階の事務室へ・・

おいらは奥様と・・店の中で雑談・・・

奥様が・・

「みんなから年賀状いただくけど・・酒屋やめてしまった子もいれば・・・おくさんと分かれた子もいてんのよぉ」

「久米くん・・いまどき・・・酒屋の奥様として・・あんなに笑顔でいてくれる奥さんはないでぇ。奥さん・・大事にしたってや」

もう・・・奥様もおれも涙・・・ぽろぽろ

「しっかし・・・ほんまによう肥えて・・・」

あの・・・もうそのハナシはいいですから・・

事務室で・・社長と対談。

「久米くんとは・・今宮のえべっさんに二人で行ったなぁ」

「久米くん・・まだ・・エール出来るか??声出るか??」

どうでもいいような・・とりとめのないハナシしか出ないのだけど・・なんだか嬉しい

電車の関係もあって・・滞在時間はわずか・・30分であった。

「なんやの・・久米くん・・愛想ナシやなぁ」

奥様からは・・もっと遊んでいけと言われたが・・つぎの待ち合わせがあるので・・と言うと・・

「愛想なしやなぁ・・愛想なしやなあ」と何度も言われてしまった・・

帰り際・・・社長が・・

「ぼくとお嬢ちゃんにお年玉」

といきなり・・ポチ袋。

突然の出来事に驚いた。

「そんなん・・にいちゃ・・困りますよ」

「よう来てくれた・・ほんまによう来てくれた」

社長も奥様もうれしそうであった。

遠慮なくお年玉はいただいた。

帰り際・・「久米くん・・奥さんを大事にしいや。いまどき酒屋をニコニコとやってくれるお嫁さんはいてないでぇ・・大事にしいや」

奥様は最後まで・・うちの妻に気遣ってくれた。

もしかしたら・・・子供を連れて・・修業先に顔を出すことは・・・

これで最初で最後かもしれん・・・

本当に顔を出してよかった・・

20年前に・・戻ったような感じがした。

そのときの成績は・・あまり優秀なものではなかったが・・・

出来の悪いこほど・・・可愛い・・ということか・・

「久米くん・・よう肥えたなぁ」

を・・連発されたおいらでした。